今年新たにEKの一員となった3人による、2017年新入り歓迎&強化夏合宿についてのレポートです。
8月10日から12日まで、御岳山の山頂付近にある宿坊「山楽荘」にて合宿が行われ、今年度にゼミを修了した9期生7人を含む21人が参加しました。濃い霧が立ち込める中、ベネズエラ音楽にどっぷり浸かる非日常的な3日間を過ごしました。
私たち9期生は、ゼミで練習したホローポやカリプソに加えて、クリスマスの時期に演奏されるアギナルドやガイタに初挑戦しました。また、タンボーラ、フーロ、ブンバック、チャラスカ、マラカスなど、それぞれ自分がゼミで演奏しなかった打楽器に多くの9期生が取り組みました。自分がやってみたい楽器にどんどん挑戦でき、石橋先生や先輩方がそれをサポートしてくれるのがこの合宿の特徴の一つです。2日目夜の発表会に向けて密度の濃い練習を行い、新しい楽器の習得と、クアトロなど以前から練習していた楽器の上達を目指しました。
私はアギナルドでタンボーラ、ガイタでフーロという太鼓に挑戦しました。タンボーラは皮と側面を手やバチで叩く音がメトロノームの役割を担い、フーロは皮に対して垂直についている棒をこすって低音を奏でます。5拍子のアギナルドはノリを掴むのが難しく、フーロは安定して音を出すこともままなりませんでしたが、手取り足取り教えてもらって少しずつ体得していきました。
2日間の練習、そして発表会を通して、改めてベネズエラ音楽の楽しさを全身で感じ、また、新たな課題を見つけることができました。発表会は9期生中心でしたが、発表会前の奉納演奏では、普段とは違った厳かな雰囲気の中で、先輩方が神に捧げている演奏を聴きました。発表会の後の宴会や3日目のBBQでも、成果コンで披露した曲や2日間練習した曲、9期生にとっては初めて聴く曲などが常に演奏され、3日間常にラテンのリズムがそばにありました。日本ではエストゥディアンティーナ駒場でしか味わえないであろうこの楽しさを、今後も存分に堪能していきたいと思います。
(文:高田あゆみ)
EK夏合宿3日目は、奥多摩にある川井キャンプ場でバーベキューを行いました。当日の朝まで天気が不安定でしたが、私たちがキャンプ場に着いた時にはすっかり晴れ、絶好のキャンプ日和になりました。
私たちが行った南米式バーベキューは、日本の焼肉とは全く異なります。巨大な牛肉の塊とソーセージを炭火で焼き、味付けには塩のみを用います。豪快ながらシンプルな料理なので、炭の温度や塩を振るタイミング、包丁の切れ味など、細心の注意を払いながら調理しました。南米式バーベキューに詳しい石橋先生のご指導の下、楽しみながら美味しい料理を作ることができました。
私たちは、牛肉だけでなく、ワサカカと呼ばれる手作りのソースや南米風のスナック菓子も食べました。また、スイカを川で冷やしておいしくいただきました。すぐそばを川が流れるという素敵なロケーションで、奥多摩の大自然を堪能しながら、とても楽しいバーベキューをすることができました。
EKのバーベキューには、調理中も食事中も絶え間なく音楽が演奏されるという特徴があります。演奏者が交代しながら、賑やかな曲を中心に演奏しました。9期生も、成果発表コンサートで演奏した曲と合宿中に覚えた曲を演奏しました。陽気なベネズエラ音楽に体を揺らしながら、本格的な南米料理を楽しむ貴重な経験になりました。
(文:濱祐輝)
二日目に行われた奉納演奏には、非常に感銘を受けました。奉納演奏とは、今年初の合宿の試みで、御岳神社分社である神の屋・山楽荘神殿に向かって演奏し、奉納芸能として神様に音楽をお供えするというものです。本当は、山頂の御岳神社本殿下で行なう予定だったのですが、悪天候により私たちの宿である山楽荘神殿で演奏させていただきました。合宿場所の御岳山は関東有数の山岳信仰の霊場であり、泊まった山楽荘は宿坊で、宿のご主人は御師でいらっしゃいます。毎年、EKでは合宿の度に山楽荘にお世話になっていること、そして今年は武蔵御岳神社の式年大祭の年にあたることを受け、エストゥディアンティーナ駒場から感謝の気持ちを込めて、この奉納演奏をさせていただきました。
奉納演奏を行う前に、実際に神社にお参りに行き、自分たちが奉納をさせていただく神様に少し近づくことができたような心地がしました。宿に戻ってから、ご主人が私たちのために祝詞を奏上し、お祓いをしてくださり、我々は玉串拝礼を行いました。その後練習してきた演奏を神様の前で演奏しました。私自身は、演奏することなく、先輩方の奉納の様子を見ていたのですが、普段のコンサートで友達や家族に演奏するのとは、また別の緊張感に包まれていたように感じます。目には見えない何か大きなものに対し演奏するのは、正装して臨んだ演者はもちろんのこと、周りで聴いている私たちでさえ、なんだか厳かな気分になりました。私は、中高をキリスト教の学校で過ごしたため、神様に音楽を捧げるといえば賛美歌というイメージだったのですが、今回は神様を讃えるというよりはむしろ、神様に素敵な音楽を聴いていただくという印象をうけました。宿近隣の住民の方や、聴いてくださった宿の方も、満足してくださり、良い演奏体験ができたのではないかと思います。
平素は雅楽が奏でられるであろう日本の神棚の前に、南米の楽器が並んでいる様子、ましてや演奏する様子は一見異様かもしれません。しかし、これら二つの全く違う文化が出会った時、衝突するどころか、違和感なく混ざり合ったように感じました。異文化が混ざり合う心地よさを感じるとともに、様々なジャンルの奉納芸能を受け入れる御岳神社の寛容性を知り、また音楽の奥の深さを再認識したひと時となりました。
最後になりますが、御当主の片柳至弘さん、若主人の片柳大亮さんはじめ、山楽荘の皆様に感謝申し上げます。
(文:渡邉美咲)