2019年12月22日(日)、R’ sアートコート(労音大久保会館)にてエストゥディアンティーナ駒場(EK)の第4回定期演奏会『星と月の生まれた夜〜La noche de las estrellas〜』が催されました。

全体集合写真

毎年異なるタイトルを冠して、装い新たにベネズエラ音楽の魅力をお届けするEKの定期演奏会。今年は、さるベネズエラの絵本から『星と月の生まれた夜〜La noche de las estrellas〜』というタイトルを借り受けました。古い星たち——熟練の業で観客を魅了するベテラン世代——と、新しい星たち——楽団に参加して間もないフレッシュな新人世代——とが、互いにつながり、せめぎ合う。その緊張感が、見たことのない輝きを新大久保の地にもたらしました。

Polo de lo que quiero:近づく二人の距離はやがて・・・

  第1部の幕開けを飾ったのはアカペラアレンジをほどこした「In the morning(カーニバルの朝に)」。カリプソのパーカッシヴな勢いそのままに、「El venao(エル・ベナオ)」へと荒々しくなだれ込みます。ここでは、本場ララ州のスターバンドCarota Ñema y Taja(カロータ・ニェマ・イ・タハー)よりEKに贈られた五弦クアトロを初披露しました。

  さらに、燃え上がる恋情を男女のデュエットが歌う「Polo de lo que quiero(あなたがいたらしたいこと)」や、ベネズエラの年末には欠かせない祭宴音楽ガイタから「Aquel Zuliano(あのスリア詩人)」と「La cabra mocha(ラ・カブラ・モチャ)」を演奏しました。打面についた棒を掌で擦るというユニークな方法で音を出す摩擦太鼓フーロの、身体を突きあげるような低音が会場全体を揺らします。

Aquel Zuliano:スリア詩人を讃える

第2部は、ベネズエラ人パーカッション奏者ジャケリン・ラゴ直伝の「Quitiplás(キティプラス)」に始まり、定番曲「Moliendo café(コーヒー・ルンバ)」や「Caramba(カランバ)」を演奏しました。また「Carnaval(カルナバル)」では、ホローポの伝統に従い、歌手の出自について当て書きしたオリジナル歌詞を披露。続いて、EKで培ったラテンアメリカ音楽の学びをさらに深化し、独自の音楽活動を展開してきた5 añosとLos Laguitosの2バンドによるゲスト演奏が行われました。

Moliendo café:新人歌手でデュエット
Carnaval:歌とバンドーラが即興的に掛け合う

 コンサート終盤には伝統的なクリスマス音楽であるアギナルドを演奏し、祝宴ムードが最高潮に達したところで、ベネズエラのスーパー・バンド、グアコの「Cepillao(かき氷)」を披露しました。「Cepillao(かき氷)」は、2016年のグアコ来日に際してEKが直接指導を受けた、大変思い出深いナンバーです。今回は、グアコの現音楽監督フアン・カルロス・サラスがEKのために書き下ろしたスコアに基づいて演奏しました。かき氷売りの陽気なラッパと、軽快なサルサ・ステップに魅了され、今夜もまた多くのグアケーロが新たに誕生したことでしょう・・・Ψ

 

Cepillao:グアキッシモ!なパフォーマンス

 

 鳴り止まない拍手に応えて、アンコールではカリプソ・メドレーを披露。四人のカリプソニアンが観客をあおり、会場全体があたかもひとつの舞台になったような錯覚すら覚えるグルーヴに包まれて、第4回定期演奏会は無事閉幕しました。

Calipso medley:汗が弾ける正真正銘のフィナーレ

 本年のEKの活動を締めくくる定期演奏会は、数多くの方々にお力添えいただいたおかげで開催することができました。ゲスト奏者としてボランティアで演奏にご参加いただき本格的な打楽器奏法もレクチャーいただいたイサオ・カトウさん、同じくゲストバンドの5 añosとLos Laguitosの皆さま、演奏技術をご指導いただいたパーカッション奏者のジャケリン・ラゴさんとロベルト・コッシュさん、EKのためにスコアを書き下ろして下さったグアコのフアン・カルロス・サラスさん、シンコをお贈りいただいたCarota Ñema y Taja(カロータ・ニェマ・イ・タハー)の皆さま、会場の提供および当日業務にご協力いただいたR’ sアートコートのスタッフの皆さま、歌手の面々にスペイン語歌唱をご指導いただいた石橋純先生、そしてご来場いただいた観客の皆さま。心より御礼申し上げます。

 今年で11年目を数えるEKには、演奏技術のみならずベネズエラ流フィエスタの流儀が脈々と受け継がれてきました。これからもその精神と伝統を絶やすことなく、たゆまぬ進化を目指して、ベネズエラ音楽を奏で続けます。

 今後とも、EKをよろしくお願いいたします。

演出参考資料
Douglas Gutiérrez著、María Fernanda Oliver絵、『星と月の生まれた夜』(山本厚子 訳、河出書房新社、1994年)

キャスト/スタッフ
可児和希   プロデューサー、クアトロ、パーカッション
菊地原宏太  音楽監督、A&R、歌、パーカッション
佐土原周平  広報チーフ、歌、パーカッション
山本卓人   舞台監督
髙田あゆみ  ベース、パーカッション
藤井健太朗  演出、歌
金沢直晃   音響チーフ
渡邉美咲   演出補佐、ピアノ、パーカッション
内川友里   歌、パーカッション
鈴木亮    バイオリン、パーカッション
山口集    ベース、パーカッション
鬼木ななみ  広報、歌、サックス、パーカッション
近藤晏誉   広報、クアトロ、パーカッション
黒井康平   音響
森内万貴   音響、アルパ、パーカッション
中本憲利   チケット管理、歌、パーカッション
永田裕也   広報、クアトロ、パーカッション
牧野翔    パーカッション
韓 智仁    バンドーラ、マンドリン
工藤愛恵   歌、パーカッション
日山美沙   歌、フルート
河村佳萌   トロンボーン
濱 祐輝    照明スタッフ
平居香子   演出協力
村瀬正紘   受付スタッフ
辻 晶就    受付スタッフ
谷口大介   司会

ゲストアーティスト
豊田健(5años)    クアトロ、ギター
増田耕平(Los Laguitos) 歌手
Isao Cato   パーカッション

スペシャルサンクス
R’sアートコート(労音大久保会館)スタッフのみなさま
石橋純 顧問教員、歌唱指導
Jaqueline Rago quitiplás、Caramba演奏指導
Roberto Koch Gaita、Caramba演奏指導

曲目一覧

  1. In the morning カーニバルの朝に(Calipso)
  2. El venao エル・ベナオ(Golpe larense)
  3. Fiesta en Elorza エロルサの祭り(Pasaje llanero)
  4. Polo de lo que quiero あなたがいたらしたいこと(Polo)
  5. La bikina ラ・ビキーナ(Onda nueva)
  6. Aquel Zuliano あのスリア詩人(Gaita)
  7. La cabra mocha ラ・カブラ・モチャ(Gaita)
  8. Quitiplás キティプラス(Quitiplás)
  9. Moliendo café コーヒー・ルンバ(Orquídea)
  10. Caramba カランバ(Danza)
  11. Carnaval カルナバル(Joropo llanero)
  12. Admiracíon 憧れ(Joropo)
  13. Eres mi última 君こそ僕の最後の恋人(Bolero)
  14. La iguana ラ・イグアナ(Son jarocho)
  15. Cantemos, cantemos 歌おう、歌おう(Aguinaldo)
  16. Al Niño Jesús llanero 平原の御子イエスに(Aguinaldo)
  17. Cepillao かき氷(Guaco)

 

(文:中本憲利)

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