2017年10月21日(土)、ベネズエラの管弦楽運動であるエル・システマから生まれたヴォーカルユニットで、ベネズエラで最も音楽的な州と言われるララ州を拠点として活動中の「ララソモスLara Somos」のメンバーを迎え、東京芸術劇場練習室にてゴルペ・ラレンセのワークショップを行いました。ゴルペ・ラレンセはEKの重要なレパートリーの一角を占めながら、誰一人ララ州のネイティブから教習を受けたことのないジャンルでした。今回のワークショップではEKの既存レパートリーである「エル・べナオEl venao」と「ロス・グリフィニャフィトスLos grifiñafitos」の2曲の教習を受けました。

エル・べナオのパート練習

エル・べナオは、EKが演奏をし、先生達から全体に対して、それからコーラス・クアトロ・マラカス・タンボーラといったパートに対しての講評をいただいた後に各パートに分かれ指導を受けました。私はタンボーラをやりました。EKが使っていた太鼓はガイタ用で、片手で面を1拍目と3拍目に叩き、もう一方の手でバチを持って側面を叩くので、1拍目と3拍目の音の違いは片手で表現しなければならなかったが、ララソモスはその明確な違いを出すために、面を叩いていないもう一方の手をミュートとして使っていたのが新鮮でした。

ララソモスからのアドバイスで特に強調されたのは、ララ州がベネズエラで最も音楽的な州であることに誇りと自信を持つこと、自身の魂を爆発させて観客を音楽へと引き込むこと、コーラスはクラシック音楽と異なり脱力系で、明るく、楽しく、大きな声で、口をしっかり開けて、はっきり発音することでした。
ララソモスは、東京芸術劇場で行われたエル・システマ・フェスティバルのキャストとして公演していて、ワークショップ翌日には私たちもその一環であるガラコンサートに参加しました。そこで聴いた彼らの演奏は、音楽的な技術面だけでなく、誇りや自信に満ちた明るい表情や声からも一体感や迫力が生まれていて、聴いている私たち観客の魂が揺さぶられ、血が騒ぎ、その演奏の世界に飛び込みたくなるような衝動にかられるものでした。

ララソモスのメンバーとともに

また、ワークショップでは、エル・ベナオをララソモスと一緒に演奏したり、ゴルペのステップをしたりしました。国境を越えて同じ音楽をし、その楽しさや想いを自らの声そして音楽にのせながら共有できた貴重な体験でした。
このような機会を設けていただいたモリス・レイナさんをはじめとするベネズエラ大使館の職員の方々に感謝の意を表し、この原稿の結びといたします。

《ワークショップに参加していただいたララソモスのメンバー(敬称略)》
グスターボ・フローレスGustavo Flores;コーラス
ホセ・ダニエル・コロラドJosé Daniel Coronado;コーラス
フアン・カルロス・モンティージャJuan Carlos Montilla;ベース
マルコ・アントニオ・ラモスMarco Antonio Ramos;コーラス
ノエル・カバーニャNoel Cabaña;コーラス・パーカッション
ネルソン・ヘスス・ガルシアNelson Jesús García;コーラス
マリア・エステファニア・プリエトMaría Estefanía Prieto;ピアノ
ガブリエル・スアレスGabriel Suarez;パーカッション
アントニー・テランAnthony Terán;クアトロ
ルイス・モジェトネスLuis Molletones;パーカッション・マラカス
ガブリエル・ダビト・ティラドGabriel David Tirado;パーカッション

(文:越後望実)

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