11月23日、東京大学駒場キャンパスにてコンサートを行いました。その日は11月に行われる東京大学の学祭、通称「駒場祭」の中日でありキャンパスはたくさんの人で大賑わい。私たちのコンサートにも大勢のお客さんがきてくださって大盛況でした。
 今回のコンサートも毎回のように、ベネズエラ音楽の様々なジャンルの曲を演奏しました。とにかく賑やかなカーニバル曲、ベネズエラ音楽とジャズとの融合で生まれたかっこいい曲、幸せなのにどこか寂しいようなそんな恋をしている気分を誘う美しい旋律の曲などなど。多様なベネズエラ音楽のあり方をお客さんたちに伝えられたのではないかと思います。そしてなによりお客さんたちがリズムにのっていたり、楽しそうな顔をしていたりといった光景を見ていたら自分たちも演奏をよりいっそう楽しむことができました。音楽とはなんともいいものです。

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 一方で今回のコンサートの日には、今までにない全く新しい試みもしました。その名も「tertulia cacao」。ラテンアメリカでは音楽や文学の話をしながらお茶会をすることがあり、それをスペイン語では「tertulia」とよびます。この企画は、コンサートの間に楽団員とお客さんとがお茶をしつつ軽くお話をしようというものでした。お客さんにはコーヒーと100%ベネズエラ産カカオ使用のチョコレートをお配りしました。ベネズエラ産のカカオは日本では高く評価されており、それはカカオ生産量世界14位のベネズエラが日本のカカオ輸入量において3位の座を占めていることからもわかります。ベネズエラの音楽ではない一面も体感してもらおうと思い、チョコレートを召し上がっていただきました。チョコレートはいったん口に入れれば、カカオの芳醇な香りが口いっぱいに拡がり、食べ終わったあともその残香が存在感を放つ代物。そんなチョコレートを楽しむお客さんたちと、私たちはベネズエラ音楽やベネズエラの文化について、楽団そのものについて、はたまたチョコレートについて、いろいろなお話をしました。会場にはカカオに関する写真などの展示もあり、わが楽団の母体であるラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミの責任教員である石橋のチョコレートに関するレクチャーもありました。もちろん企画名の「cacao」というのはチョコレートの原料であるカカオ豆からきています。楽団員とお客さんとの会話は弾み、大盛り上がりでした。

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 コンサートが終わった今も自分は興奮冷めやらぬといった状態です。楽しい宴とは美味しいチョコレートのように、終わった後も素敵な余韻が続くものでしょう。もちろん宴はその場にいる全員が楽しく盛り上げるから盛り上がるのであり、当日お越しくださったみなさまには感謝の気持ちが尽きません。ぜひまたおいでください。会場いっぱいに拡がった香りがほのかに残り続ける、次のコンサートもそんな時間にしてみせます。

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(K. S.)