8月1日(土)、第7期のゼミ生を主体とする「ラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミ成果発表コンサート」が開催されました。夏学期中ゼミ生が練習を続けてきた6曲、そしてゼミ修了生からなるエストゥディアンティーナ駒場(EK)が奏する6曲のベネズエラ音楽で、会場は熱気に溢れました。過去最多の観客動員数を誇る、大成功裏に閉幕した今回のコンサート――ご来場いただいた皆様、また寄付をしてくださった皆様のお蔭でございます。厚く御礼を申し上げます。
ラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミ 感想
私には、この「ラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミ」を履修するまで楽器の演奏経験はほとんどありませんでした。そんな私がこのゼミを履修しようと決めたきかっけは、初回のガイダンスの際に聞いたEKの方のデモ演奏でした。そこでベネズエラ音楽の素晴らしさ、EKの方の楽しそうに演奏されている姿にとても魅力を感じ、私もあの中で一緒に演奏をしたいと思い、履修することに決めました。
「ベネズエラ音楽」という、それまで全く知らなかった新しいものを学ぶことに対する期待が膨らむ一方、楽器演奏経験がほとんどない私でもついていけるのだろうかと不安を抱きつつ、授業が始まりました。
この授業では、私たちゼミ生は「ホローポ」や「バルス」という、3拍子をベースに2拍子が同時進行するジャンルの曲を中心に、「村娘」(Campesina)、「わが平原は楽園」(Mi llano es un paraiso)、「星の涙」(Como llora una Estrella)、「アマリア・ロサ」(Amalia Rosa)、「コーヒー・ルンバ」(Moliendo café)、「グアヤナ・エス」(Guayana es)、「平原の魂」(Alma llanera)の7曲を学びました。「ベネズエラ音楽」と聞いて私がイメージしていたものは陽気な曲ばかりだったので、様々なジャンルの曲があると知り、ベネズエラ音楽に対する私のイメージは大きく変化しました。これは私にとって新しい発見となりました。練習は決して簡単ではありませんでした。コード押さえになかなか慣れず、思うようにコードチェンジができずもどかしい思いもしました。何とか形にできるようになったのは、本番直前でした。
そしてついに本番を迎えました。会場は満員。当日は、過去最大級の人数のお客さんがお越しくださいました。今までこれほど大勢の前で楽器を演奏する経験は一度もなかったので、始まる前はとても緊張していました。しかし、1曲目の「村娘」を終えると、緊張もほぐれ、ようやく楽しめる余裕が持てるようになりました。
また、会場も徐々に盛り上がり始め、最後の曲「グアヤナ・エス」では、会場のお客さんから手拍子をいたただき、会場全体が一つになったような一体感を感じました。
私は、お客さんの嬉しそうな顔を見て、胸が熱くなりました。ベネズエラ音楽を学び始めてまだ数か月の私たちゼミ生の演奏はまだまだ未熟なものであったと思いますが、すべてが終わった時、やりきったという達成感でいっぱいでした。
このゼミでの経験は私にとって、とても貴重な経験となりました。
もちろん私の演奏はまだまだ未熟です。学ぶこともたくさんあるので、これから先、EKメンバーとして活動し、さらにより深くベネズエラ音楽を学んでいけたらと思います。
文責:花沢若奈
ラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミ 感想
今年2ヶ月かけて旅した中南米。そこで魅せられた明るい雰囲気に少しでも入り込め、また現地で培ったスペイン語を活かすことができるのではという期待がきっかけとなり、本ゼミの履修を決めた。ゼミではベネズエラ音楽を中心にラテンアメリカの音楽を学ぶ。しかし、当初、私はベネズエラの音楽であることがわからず、初回授業でのレクチャーコンサートでは、予想していたカリプソやサルサとは異なる音楽――後には耳慣れることになったホローポ――が流れてきて非常に面食らったことを覚えている。
ゼミが始まってからは、必修となっているクワトロという4弦楽器を習うこととなり、ギター経験者であった私には新たな弦楽器との出会いが生まれた。特にギターで言うところのカッティングに相当するチャスキードという奏法を学んだことで、ギターを手弾きする時の新たな表現方法を開拓できることとなった。チャスキードを身につけるのに苦労し、現在も完全にはマスターしたとは言えないが、楽しみながら自分の表現力を拡張することができた。また、クワトロ以外では、成果コンサートでベースを担当することになったため、ベースも指導していただいた。既に数年はロックやメタルで演奏経験があったが、リズムの走りやもたつきを再三注意され、自らのベースプレイに対する大幅な見直しにつながった。
アルマ・ジャネーラAlma llaneraなどの往年のベネズエラ音楽をアコースティックで毎週練習し、親しんでいく中で自分の中での音楽嗜好も変化していった。今までは頻繁にアンプに繋がったロックやメタルを聴いていた。しかし、ジェリー・リー・ルイスJerry Lee LewisやシックChic、デズモンド・デッカーDesmond Deckerなど、以前の私では『古臭い』として聴くことのなかった音楽や、より年代が古い音楽、アコースティック的な演奏方法を好んで聴きはじめるようになった。
本番のコンサートでは前日の夜遅くまでのリハーサル、そして本番前の準備とリハーサルで本番セットでの練習を十分に積んだこともあり、緊張しすぎることもなく、本番を迎えることができた。舞台にあがり客席に目を向けると石橋先生が再三おっしゃっていた目標の「ホールの200席を満席にする」ことが達成されているばかりか、席が足りず補助の椅子に座って待っていらっしゃる方が見え、いい演奏で魅せたいという気持ちが高まった。コンサートは光陰矢の如くあっという間に過ぎ去った。第2部に入り、私がベースを担当するモリエンド・カフェMoliendo Caféを無事に終えた時には安堵感を覚えた。そして、次の大好きなカリプソのグアヤナ・エスGuayana Esを早く演奏したくなるほどにコンサートを楽しんでいた。そしてコンサート終了後に、来場したお客様をお見送りするため、再びモリエンド・カフェMoliendo Caféを演奏した。それを笑顔で聴きながらお客様が帰られたのを見た時に、大きな充足感を覚えた。
文責:山口集