Estudiantina Komaba(以下EK)は2016年11月6日(日)に駒場キャンパスにて、ツアーで来日中であった、ベネズエラのスーパーバンドであるグアコ(Guaco)のメンバーを招いてのワークショップを開催しました。生徒であるEKメンバーが21人に、先生が12人という、EKの主催するワークショップとしてはとても大規模なものとなりました。

 ¡¡Guaco y EK!!
¡¡Guaco y EK!!

 ワークショップでは、“Cepillao(かき氷)”、“El barrio de mis andanzas(思い出のまち)”、“San benito(サン・ベニート)”の3曲を習いました。僕は歌手としてSan benitoとEl barrio de mis andanzasを習いました。San benitoのリズムは複雑で、リズムにしっかりと乗せて歌うことは容易ではないです。自分の歌がリズムにはまっていないのを見て、先生たちは「落ち着いてやろう!こんなの簡単だから!」と、リズムが合っていない部分をなんども繰り返し、手本を示してくれました。
 途中、パーカッション担当の先生たちが、彼らの出身地であるスリア州に伝わるチンバンゲレという形式の太鼓アンサンブルを見せてくれました。先生たちが叩いていたのは実際にチンバンゲレで用いる太鼓ではなく、また演奏人数も実際のものよりは小規模でしたが、聴いているうちにじわじわと高揚感の溢れてくるポリリズムの渦が、その場には確かにありました。アヴァンギャルドなサウンドやスタイルを探求しているグアコですが、その根底には伝統的な音楽がしっかりと流れていることを知らされました。

パーカッションの指導には、特に熱が入ります
パーカッションの指導には、特に熱が入ります

 ワークショップの後には、皆が楽しみにしていた宴会がEK主催で開かれました。EKの宴会は本場ベネズエラ式で、音楽の演奏が伴います。まずは指導していただいたお礼にと、EKメンバーがベネズエラの伝統音楽ジャンルであるホローポを数曲披露すると、グアコのメンバーから拍手と歓声の嵐が。するとそこからはグアコ・EKのメンバーが混じってのホローポ祭がはじまり、続いてはグアコのルーツ音楽であるガイタ・スリアーナの曲を一緒に演奏しました。そして宴の最後に演奏したのは、先ほどのワークショップで習った“Cepillao”。“Cepi, cepi, pero qué cepillao”のコーラスを全員で大合唱し、わき立つ熱気の中で宴はお開きとなりました。

グアコの代表曲“Cepillao”を、本人たちの演奏で歌う!
グアコの代表曲“Cepillao”を、本人たちの演奏で歌う!

 僕はEKに加入してから、幾度もベネズエラ人音楽家たちとのワークショップに参加しましたが、今回ほど多くの音楽家を迎えてワークショップや宴会を行なったのは初めてです。多くの先生がいらっしゃっても、しっかりコミュニケーションが取れるか、宴会で先生たちを楽しませることができるかなど、このイベントが始まる前は不安を抱いていましたが、結果としては、先生たちの人情にも助けられ、参加者皆が純粋な幸せを感じるイベントとなりました。
 今回のワークショップの実施においては、来日ツアーマネジメントにあたっていらした、株式会社ラティーナの本田健治さん、本田大典さん、坂本悠さんにたいへんご尽力いただきました。心より感謝申し上げます。
(韓智仁)

ワークショップに参加していただいたグアコのメンバーの皆様(敬称略)

フアン=カルロス・サラス Juan Carlos Salas (トランペット・音楽監督)
ケンデル・メディーナ Kender Medina (トランペット)
ブラディミール・キンテーロ Vladimir Quintero (コンガ)
アレクシス・モレノ Alexis Moreno (チャラスカ)
ジョニス・フローレス Yonys Flores (タンボーラ)
ラファエル・グレコ Rafael Greco (サクソフォン)
カルメロ・メディーナ Carmelo Medina (ギター)
ヘンリー・ディアス Henry Díaz (ベース)
ウンベルト・ガルシア Humberto García (ドラム)
エデプソン・ゴンザレス Edepson González (ピアノ)
グスタボ・モレロ Gustavo Molero (ボンゴ)
フリオ・リベラ Julio Rivera (ティンバレス)

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