今回、ワークショップ(以下WSと表記する)が2017年4月19日に駒場キャンパスの新学生会館にて行われたので、報告する。ベラクルースから来日したミスミ、フリオ親子から、普段ベネズエラ音楽を演奏する我々にとっては馴染みの薄い、メキシコのベラクルース州の音楽ソン・ハローチョをイチから学んだ。
 本WSは、ポリネシアのダンスを想起させるような緩やかで不思議な動作から始まったが、それはそのまま足を使い、一つの楽器として行われるサパテアードのリズムそのものであった。

サパテアードのデモに合わせる

サパテアードの実践練習

 40分ほどサパテアードの練習を行い、身体が徐々に火照ってきたところで、ハラナとパーカッションの二手に分かれて楽器の演奏を習った。ソン・ハローチョで用いる小型伴奏ギターであるハラナ(と代替楽器としてのクアトロ)を使ったパートは参加していないために詳述できないが、後の曲合わせでは間違いのないアンサンブルとして聞こえてきた。一方パーカッション組は馬(驢馬)の下顎でできているギロに類似した楽器キハーダとタンバリンのような楽器パンデロを適宜参加者で交代しながら学んでいった。30分と限られた時間内ではあったが、幾つかの基本的なリズムパターンを習得した。
 その後、再び参加者全員でブタキートButaquitoの歌唱指導を受けることになった。ある程度のコーラスの練習が終わると本WS参加者の一部は習ったばかりの(サパテアードを含めた)楽器を使って合奏したが、ソン・ハローチョの音の中に自分が溶け込んでいく感覚を得られた。

ブタキートButaquito合奏

 わずか2時間のWSで、ずぶの素人がその音楽を楽しむまでのレベルに到達できるとは思ってもいなかった。最後にこのような経験を与えてくれた。フリオ・ミスミ・ゲレーロ・コヒマさんとその息子、フリオ・ゲレーロ・トーレスに感謝の念を表したい。

(文 : 山口集)

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