2017年8月5日土曜日、東京大学駒場キャンパス18号館ホールにて、全学体験ゼミナール「ラテンアメリカ音楽演奏入門II」のゼミ生によるコンサート「音のカリビアンクルーズ Recorriendo Venezuela」が行なわれました。このコンサートは演奏から制作までゼミ生が作り上げてきた成果発表の場です。ベネズエラに寄港するカリブ周遊のクルーズシップに会場を見立て、定員200人を超える方々にセンセーショナルなバカンスのひとときをお楽しみいただきました。

キャスト/スタッフの集合写真。みなさん素敵な笑顔です!

 このゼミを受講しているのは東京大学前期教養学部の1・2年生です。音楽が大好きな人だけでなく、音楽未経験の人や少し苦手意識を持った人もいました。4月から練習を重ねていく中で、音楽的技術もゼミ生同士の交流も深まり、目標としてきたコンサートを無事開催することができました。

開演前の様子。ホールが来場客で埋まっていきます。(撮影:漢那朝子)

 まずお届けしたのは、ベネズエラの国民音楽ホローポのリズムに乗せて「Campesina 村娘」「Mi llano es un paraíso わが平原は楽園」、ベネズエラに土着化したワルツ「Como llora una estrella 星の涙」です。ゼミ生の多くが初挑戦となった弦楽器クアトロの他に、マラカス、フルート、アルパ、バンドーラ、ベースなど、それぞれの個性を活かした楽器が参加することで立体感のある演奏となりました。「Amalia Rosa アマリア=ロサ」は陽気なメロディーと早口言葉のような歌詞が特徴的な合唱曲で、スペイン語を母語とするお客様にも好評でした。

冒頭の「Campesina 村娘」。ゼミ生は授業の合間を縫ってクアトロ・その他楽器の自主練をしました。(撮影:漢那朝子)

 中盤では、石橋純先生(東京大学教養学部教授)やゼミのOB・OGであるエストゥディアンティーナ駒場のメンバー、一部のゼミ生による小編成の演奏として、荒々しい平原地方(リャノ)の美学を歌いあげた「Zumba que zumba スンバ・ケ・スンバ」、アイスクリーム屋の誇りを奏でる「Un heladero con clase 格別のアイスクリーム屋」、ベネズエラ東部海岸地方のホローポ「Pa’ Oriente, Compay オリエンテへ、兄貴よ」、幻想的な雰囲気の労働歌「Tonada de luna llena 満月のトナーダ」をお送りしました。さらに、偉大なクアトロ奏者フレディ・レイナの生誕100年を記念して、「Tres motivos apureños アプーレの3つの主題」を長男モリス・レイナさん(ベネズエラ大使館文化担当官)の独奏でお聴きいただきました。

エストゥディアンティーナ駒場のメンバーによる「Zumba que zumba スンバ・ケ・スンバ」。力強い歌声が心に残ります。(撮影:漢那朝子)
モリス・レイナさんによる「Tres motivos apureños アプーレの3つの主題」。レイナ家に伝わるクアトロ独奏曲です。(撮影:漢那朝子)

 大編成に戻った後半の「Moliendo café コーヒー・ルンバ」では、サックス、フルート、アルパなど、それぞれの楽器・歌の見せ場がとても輝いていて、一緒に演奏していた私たちも自然と音楽にのることができました。また、コンガ、ボンゴ、クラベス、ラジョ、マラカス、カウベルが刻むリズムが心地よく、キレのある演奏に仕上がりました。「Guayana es グアヤナ・エス」では、合いの手やアイコンタクトのおかげで来場のお客様とも気持ちの高まりを共有でき盛り上がりました。私は歌手として参加し、練習では不安でいっぱいでしたが、ゼミ生のみなさんに助けられて無事にやりきることができました!

大盛り上がりの「Guayana es グアヤナ・エス」。ラジョやカンパナ、ブンバックなど馴染みのない楽器が並び、見た目も楽しめます。(撮影:漢那朝子)

 そして、あっという間だった私たちのカリビアンクルーズは、さわやかな手拍子とともに送られたアンコール曲「Alma llanera 平原の魂」で大盛況のうちに幕を閉じました。

アンコール曲「Alma llanera 平原の魂」。非日常であるバカンスもいよいよ終わってしまいます。(撮影:漢那朝子)

 このコンサートでは、ゼミ生の役割は演奏だけではありません。制作、広報、編曲、照明、スチル・ビデオ撮影、音響、A&Rなど、基本的にはすべて自分たちの手で準備してきました。緊張感を持ってそれぞれの仕事に集中しながらも、同じ方向を向いて一つのコンサートをつくる必要があり、大変でしたがとても有意義な経験となりました。私はコンサート全体の雰囲気をつくり出す照明に関わることができました。ずっと憧れだったのでこの機会に感謝しています。
 このゼミを受講して、情熱あふれるベネズエラ音楽に触れることができただけでなく、皆の音で一つの音楽をつくる楽しさを感じることができました。コンサート終了後、自然とお見送りの合唱が始まりお客様と踊り出したときにはとても幸せな気持ちになりました。
 最後になりましたが、音楽的な技術やノリについて厳しくそして楽しく指導してくださった石橋先生、ベネズエラ大使館から指導に来てくださったモリス・レイナさん、演奏の指導や演出を手伝ってくださったエストゥディアンティーナ駒場のみなさん、素晴らしい照明を実現してくださった劇団Radishのみなさん、一緒にベネズエラ音楽をつくってくれたゼミ生のみなさん、そして「ご乗船」いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

ご乗船ありがとうございました!(撮影:漢那朝子)

スタッフ/キャスト

山本卓登 学生代表、音楽監督  クアトロ、バイオリン
永田裕也 音響統括、広報統括  マラカス
越後望実 クアトロ、ラジョ、歌
濱祐輝 クアトロ、フルート
新屋薫 クアトロ、フルート
塚越健太 クアトロ、歌
加藤諒大 クアトロ、タンボーラ、サックス
伊東潤 クアトロ
有田啓悟 クアトロ、カンパナ
渡邉美咲 クアトロ、歌
杉山琴美 クアトロ、マラカス、歌
高田あゆみ クアトロ、コンガ
キム ウソク クアトロ、ベース
立島智央 クアトロ、歌、クラベス
河﨑篤史 クアトロ、ベース
陽東旭 クアトロ、アルパ
張天鴻 クアトロ、バンドーラセントラル
姫野ソフィア聖佳 クアトロ、マラカス、カンパナ、ボンゴ
北出航 クアトロ、バンドーラ、マラカス
田嶋結乃 クアトロ、歌
西村太熊 クアトロ

韓智仁 ベース
小川雅貴 マラカス
立花美幸 バンドーラ、マンドリン
平澤樹乃 マンドリン、アルパ
内川友里 衣装統括  歌
鈴木亮 クアトロ
藤井健太朗 演出統括
鄭嬋媛 照明統括

劇団 Radish 照明

増田耕平 TA、舞台監督  クアトロ
モリス・レイナ コーチ  クアトロ、ギター
石橋純 担当教員  歌

(文:杉山琴美)

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